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リキル・ドスモチェ

2012.03.14

2012年2月19日・20日、新年の豊作を願いドスモチェというお祭りが開かれました。
会場となるゴンパ(お寺)では僧侶たちによるチャム(仮面舞舞踊)が行われます。
僧侶たちはこの日のために日々練習を重ねていきます。練習風景も見たことがありますが、本番はそれにまさる真剣なものでした。



ドスモチェはラダックの中心地レーと、郊外にあるリキル・ゴンパの2箇所で開かれます。
どうせなら遠出しようと車を手配。

リキル・ゴンパまではレーから車で1時間半程度。
雪景色の中に懐かしい姿が見えてきました。



ゴンパに辿り着くまで人気もなく、本当にお祭りはあるのか?と疑うほどでしたが、いざ着いてみると居るものですね。
いったいどこから集まってきたんだか。
お祭りの始まる頃には狭い広場がぎっしりでした。



お祭りが始まる朝10時前、僧侶たちが控えていたお堂に緊迫感が走ります。
黄帽はチベット仏教ゲルク派のシンボル。ツォンカパ・ハット。
まずは正装から、といったところでしょうか。



リキル・ゴンパの座主はダライ・ラマ法王(14世)の実弟、ガリー・リンポチェ。
一年に一度のお祭りなので、もしかして来られるのかなとも期待しましたが・・・そう甘くはなかったようです。
座主は実弟だとしても、目に付くのはダライ・ラマ法王の写真。
チベット圏ではどこにいてもダライ・ラマ法王の偉大さを感じます。



僧侶の胸にもバッチが。
町ゆくお年頃の娘さんの胸にもこのようなバッチが付いています。
アイドル以上の存在ですね。




さて、お祭りの開始と共に大タンカ(仏画)が開帳されました。
うまく開かれるように地元民や僧侶たちから掛け声が飛び交います。無事開帳されると皆手を上げて大喜び。



いよいよチャムのスタート。
いろいろな仮面を付けた僧侶たちが登場、舞を披露します。



雪が降り始めました。
会場はマイナスだったでしょう。極寒でした。



広場から階段を上ったところにある小さなお堂が控え室になっていて、ここで僧侶たちは慌しく着替えをしていました。
一人が一つの舞を踊れば終わりではないのです。
仮面や衣装を変え、目まぐるしく広場に出て行きます。

お堂の中にはもちろん観客はいません。
しかし僧侶たちの舞はお堂の奥から始まり、階段を下りて広場でメインを迎えます。
お堂に残った僧侶たちで楽器や指笛を鳴らし、最高潮に盛り上げて舞を踊る僧侶を送り出します。



僧侶たちの気合いはすごいものでした。
私が居ようと、カメラを向けようと、びくともしません。
頭の中で舞をイメージしているのでしょう。



大人だけではありません。
まだ幼い僧侶も参加します。



やはりそこは子供。
緊張感はあまり感じられません。衣装を合わせて嬉しそうでした。
はしゃいでいる子供たちに大人の僧侶が活を入れ、本当に大丈夫か!?と言わんばかりに指導をしていました。
子供の僧侶たちはゴンパでの修行の中で、毎年のように先輩僧侶の華麗な舞を見て成長していくのでしょう。



大きな旗をいくつも付けた仮面が登場。
これがメインと思われます。
広場の観客はその仮面が出てくることを知っているのか、登場前から控え室であるお堂に向かって手を合わせていました。
その仮面をかぶるのはボス僧侶(勝手に思っている)。
相当重いのか皆に支えられてお堂を出て行きました。



普通の舞でもきつそうなのに、その仮面をかぶって踊るのはかなりの体力消耗なのでしょう。
踊り終え、広場から抱えられるように帰ってきたボス僧侶は椅子に倒れ込み、駆けつけた僧侶たちにまるで救出でもされるように仮面を取ってもらっていました。



放心状態のボス僧侶。



表舞台では観客を笑わせ、楽しませ、軽快に踊っているように見えますが、実は体力の限界ぎりぎりなんです。
今までチャムを何回か見てきて、ここまで激しい世界だとは知りませんでした。
僧侶たちは一つのチャムを踊りぐったりし、そしてまた舞台に向かっていく。
“祭り”なんてお気楽なものではない、僧侶たちにとっては勝負の日。



チャムは夕方16時半まで続き、終盤に近づくと悪天候だった空から光が差し、徐々に晴れ渡っていきました。
僧侶たちの舞がそうさせたような気さえしてきます。
カメラを持つ手が凍りそうだったのに、太陽があるだけでこんなにも温かい。



ところでなぜこんなおどろおどろしい仮面なのか。
チャムの意味は何なのか。



聞いた話によると、チャムによって予め死後の世界(悪鬼など)を人々に見せて、後々恐がらなくて済むように、とのことらしいです。